ふじもと歯科診療室

東京都稲城市東長沼3103-12
Tel/Fax: 042-378-7105

セルフケアについて

なぜ「歯」を磨く?

 

「歯を磨いてくださいね」。

歯医者に行くと、必ず言われることだと思います。私も毎日のように言っています。 しかし、考えてみると、これほど患者さん(またはお客さん)にたいしてケアを要求する医療科目は、歯科くらいではないでしょうか。

 

ところで、国立保健科学院の花田先生は、歯のような硬い組織(硬組織といいます)は、皮膚のような軟組織のように動かない。免疫物質が分泌されない。軟組織のように上皮(表面)がはがれない。という特徴から、人為的なケアをしないかぎりバクテリアの塊ができてしまうとおっしゃっています。

もともと人間の体は、外界に触れるところと、そうでないところは、発生のときから作られ方が異なっているようです。もっと簡単に言うと、日常的に空気に触れるところかそうでないかによって構造が異なっているわけです。 空気に触れるところは、常に外からの感染の危険に晒されていますので、防御機構がしっかりしています。

 
  • 動けば、バイキンはくっつきにくい。
  • 免疫物質がでれば、くっついたバイキンもやっつけられる。
  • 表面がはがれれば、生き残ったバイキンも自然に体外へ排出される。
     
    これらのことが、歯には期待できないのです。
     

ハブラシ選びの重要性

 

東急ハンズやロフトに行くと、歯医者の私でさえ迷ってしまうほど色々なハブラシが売られています。しかも、箱に入ったままですから、実際のところ、硬さや、毛束の具合などはまったくわかりません。 一般の方は、どういった基準で購入なさるのか、時々見ていることがありますが、みなさん以前使った経験があるものや、パッケージのデザインで選んでいるようです。

 

ところで、当診療室では患者さんのお口の写真を撮り、それをお見せしております。そういったときに、磨き残しのお話をすると、皆さん「磨き方が下手なんですね」「やり方が悪いんでしょうか?」とおっしゃいます。 また、「正しい磨き方を教えてほしい」と言われることも度々です。

当診療室では、まず磨き方よりも、御自分のお口に合ったハブラシを使っていただくことから始めております。意外にハブラシに対しては気にしない方が多く、残念に思います。 道具を使う行為は、その道具の良し悪しに相当結果が左右されます。

 

当診療室では、院長以下スタッフ全員で、いろいろなハブラシを試して見て、お薦めできると思われるものだけを展示しております。 また、見て、触って選んでいただけるようにしております。

治療費に比べれば、ハブラシ代など安いものではないでしょうか? しかも、それが健康を左右するのです。

是非、ご自分がお使いのハブラシに、こだわっていただきたいと思います。

 

子どものハブラシ&仕上げみがきのポイント

 
 
 

私は、おおむね、小学校1年生(もしくは2年生)くらいまでは、保護者による仕上げ磨きの習慣が好ましいと、考えています。 ただ、その際、必ず本人にも磨かせて、最後に仕上げるという形をとることが大切です。

 

自分で磨くという習慣付けと、役割分担を覚えさせるためには、どちらかだけでなく、両方(本人磨き&仕上げ磨き)が必須うです。

 
 

さて、その際、意外に皆さんやってしまっているのが、ハブラシ1本で本人磨きと仕上げ磨きをしているということ。 できれば、本人磨き用と、仕上げ磨き用と2本はブラシを用意していただきたいのです。

 

よ〜く見ると解りますが、小児用ハブラシは、ヘッドが大きく、グリップも太く、全長も短くなっています。 これは、拙い動かし方でもハブラシの毛先が届きやすいよう、しっかり握れるよう、そして、誤って喉を突かないようになっているわけです。

 

反対に仕上げ磨き用は、細かいところを磨きやすいようにヘッドが小さく、動かしやすいようにグリップも細く、奥まで届かせやすいように長めになっています。

 

また、5歳以下のお子さんが使ったハブラシは、たいてい毛束がグチャグチャになってしまいます。 これでは、いくら使ったところで、歯垢は落ちません。

 

兄弟が2人がいれば、2×2で4本必要になりますが、大切な歯を守るためには、安い投資ではないでしょうか?

 
 
 

ところで、仕上げ磨きについて、保護者の悩みのおそらくトップに挙げられるのが 「仕上げ磨きを嫌がる」ことではないでしょうか?

 

「仕上げ磨きしてあげてますか?」と伺うと、「嫌がってさせてくれないんです・・・」という返答が多いんですよね。

 

嫌がる原因は、様々なことが考えられます。 昨日、投稿したハブラシを換えないということも、一つの原因になっていることがあります。 毛束の揃っていないハブラシで磨くと、ハグキが痛いんです。これが原因というのも多いようです。

 

また、磨く時間帯も重要です。 大人と同じように食後に磨くよりも、機嫌の良い時間に磨くことを、私はオススメしています。

 

もちろん、食後に磨いたほうが良いのですが、嫌がるところを磨いても、ハミガキ嫌いになるうえ、キチンと磨けませんから・・・。

 

「子どもは、小さな大人ではない」とは、小児を専門にしている人によく言われることですが、大人の常識を当てはめようとすると、そこにムリが生じるようです。

 
 
 

そして、当たり前のことのようですが、仕上げ磨きの効果を挙げる(要は、歯垢をしっかり落とす)ための最大のポイントは、仕上げ磨きを好きになってもらうことでしょう。

 

歯垢は、溜まってくると、ハブラシで落とすことがだんだん困難になってきますので、とにかく溜めないことが肝要です。

 

とは言っても、嫌がるお子さんにどう対処するか? マジメなお母さんほど、毎回隅々まできっちり磨こうとしますが、私は機嫌の悪い時や、まだ仕上げ磨きが好きになっていない段階では、1点集中磨きをススメています。

 

ムシバは、おおむねできやすい場所と時期が決まっています。 例えば2歳前後であれば、上の前歯。もう少し大きくなれば、奥歯の間といったように。 そして、下の前歯などは、よほどムシバになりやすい体質でない限り、そうそうムシバにはなりません(ただ、歯肉炎にはなりやすいですが)。

 

ですから、短時間でさっと終わらせたい時は、そういったムシバになりやすい場所だけに集中し、その他の場所は子どもの様子を見ながら、無理強いをしないようにお話しています。

 

そしてまた大切なポイントですが、ハミガキは「手」でやるもので「頭」でやるものではありません。 「前歯を磨いてくださいね」と、言っても、実際こちらの思惑通りに磨ける保護者の方は少ないものです。

 

体が覚えないと、上手にできないのが、ハミガキ。 スポーツなどと一緒ですね。正しいフォームや、やり方が頭では解っていても、体がなかなかその通りに動いてくれない。

 

でも、そんなに難しいものではありません。 ちょっと練習すれば、皆さんすぐにできるようになります。

 

そして、一人で治療イスに座れるお子さんなら、タイミングを見計らって、上手に磨いてあげれば、だんだんと嫌がらなくなるようです。

 

長々と書いてきましたが、結局のところ、仕上げ磨きのコツは、

 

�本人用と仕上げ用の2本のハブラシを用意する。 �本人の機嫌の良い時間にする。 �機嫌が悪かったり、嫌がるときは、大事なポイント(ムシバになりやすい場所)だけを短時間で磨く。 �ハブラシの当て方を、保護者に知ってもらう。

と、いったところでしょうか?

 

しかし、実際のところ、ハミガキを好きにさせるのに時間がかかるお子さんもいます。 最後は、愛情でしょうか・・・。


Last-modified: 2008-08-17 (日) 18:00:44 (3386d)