ふじもと歯科診療室

東京都稲城市東長沼3103-12
Tel/Fax: 042-378-7105

歯周病の治療

当診療室では、歯周病の治療に、最も力をいれています。

 

ところで、歯周病の治療というのは、むし歯治療とは、様相がかなり異なってきます。

 

「歯周病って治るんですか?」と訊かれることが本当に多いのですが、 この「治る」という言葉には、二通りの「治る」があります。

ひとつは「再生」、もうひとつは「修復」といわれるものです。

 

例えば、誤って指を切断してしまったとします。切り口からにょきにょき指が生えてきて元通りになる、これが再生です。一方、切り口を、まわりから皮膚が覆って痛まなくなる状態、これを修復といいます。どちらも「治った」と言いますね。 通常、歯周病の治ったは、この修復を指します。再生がもっとも望ましいのですが、なかなかそうはいきません。(再生治療を目指すやり方もありますが、まだまだ難しいものがあります) いわゆる、元通りという意味の再生が期待しにくい以上、初期の段階での治療が本当に大切です。

 

診査と診断。そして、計画治療が大切です

 

さて、歯周病の治療をスタートするにあたって、必ず必要なのが「診査」と「記録」です。もちろん、歯周病に限らず、病気の治療には必須のことですが、こと歯周病に関しては、非常に重要です。

 

うちでは、基本的にまず「口腔内写真撮影」、「レントゲン写真撮影」、「歯周精密検査」を3点セットとして行います。 ちなみに初診の患者さんの場合、初回は、レントゲン撮影と、口腔内写真撮影のあと、おおまかな状態をお話し、2回目に歯周精密検査をおこなうことが多いです。 この2回を合わせて、約1時間半から2時間ほど時間がかかります。

 

この精密検査の結果は、解りやすい模式図に現したものを、皆さんにお渡ししています。

 

歯周病の基礎知識

 

歯周病は、原因となる歯周病菌の活動に対して体の免疫反応の結果で起こる病気です。ですから、歯周病の治療は、この歯周病菌の活動をいかに押さえ込むかということにかかってきます。

「プラークコントロール」という言葉を聞いたことがありませんか? 「プラーク」とは歯垢のことですが、もともとはラテン語で、「くっつくもの」という意味からきています。このくっつくというのがお口の中のバイ菌の特徴です。 そして、どこにくっつくかというと、歯の表面なのです。 ですから、歯周病に罹っている場所は、基本的に歯の表面に歯垢がくっついていて落としにくい状態になっています。その場所を知り、歯垢を落とし、さらにくっつかないようにすることが重要です。

歯周病治療の決め手は、このプラークコントロールをいかにきちんと効率良く行うかであると言っても過言でないでしょう。 そこで、診査の結果から、いかに痛みを少なく、通院回数がなるべく少なく、そしてキチンと治るよう計画をたてて治療にはいっていきます。

残念ながら、歯周病治療には、完治ということはなく、そういう意味では終わりはありません。 が、動的治療と言われる積極的な治療と症状・病状悪化傾向が一段落したところで静的治療へと移行します。

そして、ここからは、歯科衛生士にバトンタッチです。

 

歯科衛生士という職業をご存知でしょうか?

 

最近は、随分と認知されてきましたが、国家試験合格が必要な資格です。 歯科医院を、歯の修理工場から脱却させるために、なくてはならない人たちです。

特に歯周病治療に関しては、彼女らの協力が欠かせません。 お口の治療は、歯科医師がやるものと考えていらっしゃる患者さんが多いのですが、歯周病の治療では、歯科衛生士がその大部分を担います。

当診療室では、さらに治療効果を高めるべく、担当衛生士制を採っております。

担当制の最大の長所は、一人の患者さんの経過を担当者がずっと追っていくので、経過がキチンと把握できることです。

何でも、ご相談ください。きっとうちの衛生士たちは、応えてみせると思います。

 

歯周病治療の特殊性

 

初診時に、歯周病治療の必要性をお話すると、「何回くらい通えばいいんですか?」とよく訊かれます。

不治の病のむし歯と違って、治癒が期待できる歯周病に関しては、冷たいようですが「わかりません」としか言いようがありません(もちろん予測はしますが)。

みなさん、風邪をひいたときなど、何回お医者さんに通えばなおるか?といった発想になるでしょうか?怪我であれば、全治何週間といった診断がつきますが、病気が治るスピードは、人または歯の場所によってことなってきます。

疾病(disease)と病気(illness)は違います。 風邪という疾病でも、病気として熱が出る、くしゃみがでる、のどが痛い、下痢をするなど同じ風邪でもその症状は人により様々です。 同じように、歯周病でも、人により、ハグキが腫れやすいかそうでないか、出血しやすいかそうでないか、痛みがでやすいかそうでないか、など様々です。

歯周病治療は、何回で治せるといった請負修理工事ではないのです。

 

大切なメインテナンス

 

メインテナンス(もしくはメンテナンス)とは、「維持」「持続」「保守」「保全」という意味で使われる言葉ですが、歯科では(定期)健診の意味合いで使われることが多いです。

病気の治療をし、そこで回復した状態をできるだけ悪化させないようにお手入れを続けるということでしょうか。

残念ながら加齢変化もありますから、少しでも悪化を遅らせるというのが現状かもしれません。

それでも、効果的なメインテナンスは明らかに健康維持に繋がるので、うちでも力を入れています。 と言うよりも、これがベースに無いと、治療方針自体が定まりません。

勤務医時代に、このメインテナンスの重要性に気づき、ベースにするためには最低ユニット数が4台以上必要ではないか?ということから開業地/物件を選んだほどです。

そして、開業当初から定期健診の重要性を患者さんに伝えてきました。

おかげさまで、多くの方々に健診で利用してもらっていますが、その施術内容は随分と変化してきています。

 

メインテナンスの目的は、可及的な現状維持(健康を回復するというのは治療)ですから、来院時に診るべきは「変化」です。

それは、お口の中だけではなく生活の変化も。 口は全身の鏡という言葉があるほど、生活背景が大きく影響します。

特に大きく影響するのは、服薬でしょうか? 糖尿病、高血圧は、薬の影響がお口に反映されたり、またお口の症状がその病状に影響することもあります。

また、受験生(夜食などの影響)、学生から社会人へ、といった生活そのものの変化も。

意外にご本人は、バタバタしているせいなのか?自覚症状に気づかないこともあったりします。

 

メインテナンスを健診と置き換えると、変化をチェックするだけ?ともなりますが、そこからお手入れもセットで行います。

健診という言葉でなく、メインテナンスと呼ばれる所以ですね。

お手入れは、簡単に言えば「クリーニング」ですが、実はそう簡単な施術ではありません。

当院では、写真のエアフローという器械を使用しています。

かつては PMTC と呼ばれる方法が主流でしたし、うちでも使用していました。

ただ、このPMTCは、リスクの高い部位を綺麗にしようとすると、ものすごく時間がかかりますし、またそれだけでなく歯の表面を傷つける可能性も高まります。

メインテナンスと称する施術を受けたことによる害が報告されている論文も数多くあり、クリーニングと言っても、実際にはなかなか技術的にも難しいところがあります。

つまり、「短時間で」「効果的な」「害の少ない」クリーニングというのは、そう簡単では無いんですね。

ちなみに、口を開けていられる時間というのは限られていますので、短時間というのは重要なポイントなんですよ。

  


Last-modified: 2022-05-09 (月) 08:26:26 (810d)