子どもの予防歯科 †
「お口の健康づくり」の第一歩は子どもたち自身の歯ミガキ。
でも、それだけでは守り育てることはできません。御家族のみなさんと私たちがいっしょに健康づくりに取り組むことが必要です。当診療室では、その一助としての予防プログラムを実施しています。
子どもさんとそのご家族、歯科医師、歯科衛生士みんなで協力して健康なお口を育てていきましょう。
プログラムの内容 †
- 口腔内診査
むし歯ができていないか、歯肉炎になっていないか、永久歯の萌出状態はどうか、乳歯と永久歯の生え変わりに異常はないか、などを診ます。また、このとき、顔とお口の写真を撮ります。むし歯や歯周病だけでなく、歯並びも重要なチェック項目ですが、歯並びは、顔とのバランスが大切です。その記録の積み重ねが、将来治療が必要となった場合の大切な診断の助けになります。
- ハミガキチェック
歯ブラシによる清掃が上手にできているかチェックします。できていない場合は、ブラッシング練習をします。一回でできない場合は、何回か通っていただく時もあります。
はみがき道場と、呼んでいます。
- プロフィラキシス
耳慣れない言葉ですが、これは歯の表面にこびり付いた歯ブラシでは落と
せないバクテリア(ばい菌)を除去することです。専用のブラシとペースト
を使って歯を磨きます。こうすることに歯の表面がきれいになり、フッ素が
より歯に吸収されやすくなります。また汚れもつきにくくなり、毎日のブラ
ッシングの効果を高めます。
- 最後に、むし歯予防に最も効果的とされているフッ素を歯に塗布します。
フッ素塗布の方法はいろいろありますが、当診療室ではフッ化ナトリウムのフォームを用いたトレー法を実施しています。フッ素塗布の目的は、むし歯にないにくい歯を作りあげていくことにあります。
萌出直後から2〜3年の歯は歯質が弱く、むし歯になりやすいうえに、いったんむし歯になるとその進行がとても早いという特徴があります。反面、フッ素に対する反応性が高くもっともフッ素による歯質強化の効果が期待できる時期でもあります。したがって、乳歯の奥歯が生える3歳頃から永久歯の生えそろう13歳頃がフッ素塗布には最適の時期といえます。
以上の処置をおおむね3ヶ月に1度の間隔で行います。(間隔を短くする場合もあります)
フッ素は塗布された歯面すべてにすぐに取り込まれて効果を発揮するわけではありません。また、高濃度のものを使用したり、大量に摂取すると副作用をおこします。ですから適当な濃度のものを適量で継続的に応用することがその効果を高めます。
プログラムを受けていただくうえで、気をつけていただきたい事 †
- 予防処置は受けていれば絶対に病気にならないというものではなく、病
気になる確率をさげるものにすぎません。やはり、ご家庭でのセルフケ
アがもっとも大切です。セルフケアについては、こちらで必要と思われ
る事をその都度アドバイスします。
- 予防処置をしていてもむし歯ができてしまうことはあります。その早期
発見と早期治療もお口の健康維持にとても重要です。また、歯が抜けた
らなるべくみせに来て下さい。歯と歯の間にできたむし歯は、お隣の歯
が抜けると見つけやすく治療も歯をたくさん削らずにすみます。
- どうせ乳歯はぬけてしまうから」とは思わないで下さい。口には、物
を食べる、発音する、表情をつくる、などの働きがあります。その働き
を作っていくうえで、特に乳歯には「噛む」という感覚を身につけたり、
顎の発育や永久歯のスペース保持という先導役として重要な役割を担っ
ています。また、乳歯にむし歯があれば永久歯にも影響します。
- フッ素については、その毒性や副作用を心配される方もいらっしゃいま
すが、当診療室では疫学的に最も副作用の少ない方法を行っています。
もともとフッ素は食品中(魚貝類、海藻類、緑茶など)にもふくまれ
日常体内に取り込まれているものです。副作用の大部分はフッ素の使用
方法が不適切な場合にしかおこりません。ただし、アレルギーに関して
は予見できませんので異常があるときは中止する場合もあります。
- このプログラムの目的は、健康なお口を作り上げていくことにあります。
したがって、原則的には3ヶ月に1回の施術を永久歯が生えそろうまで
継続的に行います。時期がきたらこちらからご連絡しますが、連絡が取
れない場合が時々あります。間隔があいている様な場合にはお手数です
がお問い合わせください。
以上、お読みいただいたうえでプログラム実施をご希望のかたは受付にてお申し込みください。疑問な点等につきましてはお問い合わせください。
唾液検査 †
最近、あちこちの歯科医院で実施しているようですが、うちでも数年前から実施しております。
唾液を採取し、むし歯菌の数や、唾液の性質を調べ、むし歯になりやすいタイプかどうかの判定をするものです。基本的には、来院される方全員に受けていただきたいのですが、なかなかそうもいかないのが現状です。
受けていただいた方には、むし歯菌が多い場合にはこう、とか唾液の性質によってはどういったことに気をつけていただきたいかなどといった対策をたてます。
しかし、最大のメリットは、そのタイプによりこちら側の心構えや対応を変えられるとではないかと考えております。
「むし歯=早目の治療」という図式を持っていらっしゃる患者さんが多いですが、実際には経過観察で診ていきたい初期むし歯というのは本当に多いです。
しかし、一口に経過観察とはいっても、その予定を効果的にきめなければ意味がありません。毎日来ていただくわけにもいきませんし、またその必要もありません。
どのくらいの間隔であれば良いのかは、人それぞれですが、それはむし歯リスクが参考になります。
また、むし歯治療の際にも、リスクが高い人かそうでないかで処置内容が異なってきます。